バーンアウト
バーンアウト、燃え尽き症候群とも言われ、それまで一生懸命努力してきた人が目標を見失い、やる気を失ってしまった状態。一説によると労働者の半数近くがバーンアウト状態で仕事をしていると言われている。
これはスポーツをしている育成年代に多く見られ、近年問題になっている。私もたくさんの教え子がおり、高校サッカー、または中学サッカーを引退したのち、バーンアウトしているなと感じる子は非常に多い。決して人ごとではない身近な問題。
バーンアウトになる原因の一つは、目標の喪失にある。スポーツで言えば例えば、全国大会出場や、優勝、などを目標に掲げ日々励んでいるチームは多いだろう。その目標を達成するための大会で目標に届かなかったり、あるいは達成したとしても、その後新たな目標を見出すことが出来ず、何を頑張れば良いのかわからない、酷い人は、達成が難しい目標に向かって頑張る必要性が理解できなくなってしまい、バーンアウトに陥ってしまう。
こういった時には新たな目標を見つけることができれば一番良いが簡単ではない。色々理由はあるだろうが、根本的な原因は「目的がない」からだと思う。
※目的→最終的に辿り着きたい到達点
※目標→目的を達成するための指標
例えば、サッカーでワールドカップ優勝は目標にはなるが、目的にはならない。目的は「サッカーを通して日本の子供たちに夢を与えたい」などがそれになる。その目的を達成するための指標として「ワールドカップで優勝する」が目標になる。ワールドカップで優勝するためには→日本代表に選ばれる→海外で活躍する選手になる→プロサッカー選手になる→全国大会で優勝する、など段階的な目標が生まれてくる。目的は最終的なゴールであるが、目標は次のステップに進むためのスタートラインになる。
そして目的達成のための道は一つではないので、目標はたとえ達成できなくても諦めない限り、目的を果たすことはできる。全国制覇しなくてもプロになれるし、海外で活躍しなくても日本代表になれる。日本代表としてピッチに立てなくても、アシスタントや、指導者などで、ワールドカップ優勝に必要な存在になれる。ワールドカップで優勝できなくても、子供たちに夢を与えられる。目的さえ明確に持ち続けることができれば、目に前の目標を達成できたかどうかは些細な問題であり、バーンアウトすることはないし、バーンアウトしてしまっても、次の目標を設定できる。
最近1人の教え子と話をする機会があった。私の中でその子は超プラスの人間。常に前向きで、何事にも全力、困難にも積極的に立ち向かい、弱音を吐かない。嘘もつかないし、人の悪口も言わない。1人の人間として尊敬できる子だった。けれど、それでもバーンアウトしていた。見た感じではいつも通り明るくて分からなかったけど、話を聞くと見えてきた。非常にショックだった。哀しさ半分と怒りが半分。
一生懸命頑張れる人ほどバーンアウトに陥りやすいと言われている。育成年代でも引退を機に多くの子供がそれを経験するし、一時的なもので済む人ももちろんいる。でも、みんな経験するから仕方がないことでも、一時的なものだからOKでもない。
バーンアウトは防ぐことができるし、指導者はそうならないように努めなければいけない。なぜならそこが子供たちのゴールではないのだから。育成年代のどのチーム、どの環境も、子供たちが更に次に進むためのステップアップの場として存在しなければいけない。
ツバサに関わった全ての子供たちが、未来に向かって力強く羽撃けるように