育成環境を変える
スポーツ現場の育成環境を変えたい。子供たちの未来をより良いものにしたいから。
ではどのように変えたいのか?そもそも今ある環境はそんなに悪いのか?そのような疑問を抱く人も多いだろう。ではまず、日本の育成環境において何が問題なのかから考えよう。
初めに定義しておきたいのはスポーツの意義についてだ。文部科学省の定めるところを一部抜粋すると
「スポーツは、人生をより豊かにし、充実したものとするとともに、人間の身体的・精神的な欲求にこたえる世界共通の人類の文化の一つである。心身の両面に影響を与える文化としてのスポーツは、明るく豊かで活力に満ちた社会の形成や個々人の心身の健全な発達に必要不可欠なものであり、人々が生涯にわたってスポーツに親しむことは、極めて大きな意義を有している。」とある。
つまり、スポーツは生涯に亘り親しみ続けることで、心身の発達やより良い社会の形成に繋がると。しかし実際はどうだろう。今現在、スポーツを生涯楽しむことの出来る人はどれくらいいるのだろうか?多くの人が学生時代の部活を機に「引退」をしていないだろうか?私も数百人の教え子がいるが、高校卒業後、サッカーを続けている子は、ほんのひと握りしかいない。これが現実。これではスポーツの意義を見失ってしまっている。
これが日本の育成環境における一番の問題点。
全ての人にスポーツをしろと言っているわけではない。大人になれば様々な事情でスポーツをやりたいけどできない人も多いだろう。問題はそこではない。問題なのは、子供のうちから「引退」を考えさせてしまう育成環境だ。
親には育成環境を選ぶ時、そのチームが何を目的とし、どこに目標を置き、どういったプロセスを踏むのか知って欲しい。これを知っている親は少ない。育成環境は子供の将来に大きな影響があるのにもかかわらずだ。
そしてもう一つ確認して欲しいのが、卒団後の子供たちは何をしているかだ。何人プロを輩出したかの確認ではない。何人が今もスポーツを楽しむことができているかだ。ここへのアプローチがないチームは無責任と言わざるをえない。育成は子供たちの将来のためにある。良い育成環境かどうかはその子が大人になってから決まるもの。そこへのアプローチなくして良い育成なんて絶対にない。
強いチームに行きたい気持ちもよく分かる。勝負のあるスポーツで勝ち負けは重要だ。しかし、試合に負けたところで、人生に大きな差はないが、スポーツを辞めてしまえば、人生は大きく変わる。
「子供にはスポーツを楽しんで欲しい」「楽しくできれば良いからみんなと同じところを」そんな親もいると思う。「ただただ楽しみたい」そんな子供も多い。しかし、「今のままの環境」では多くの子供たちがスポーツを辞めてしまう。これが事実だ。現実だ。
親が何を望もうと、子供が何を求めようと、育成環境を変えない限り、スポーツを生涯楽しむことの出来る人材は生まれ難い。
多くの大人が自分の経験を元に子供の育成環境を選ぶだろう。多くの大人が経験した育成環境が、間違っているといっているわけではない。
ただ、もっと良いものが絶対にある。
自分の中の「当たり前」「普通」「常識」を変えるのは簡単じゃない。でも、よく比べて欲しい、子供たちの将来とどっちが大事か。
これはもちろん私にも言えること。
変えよう、今すぐに。
もっと良い環境と、もっと良い未来を子供たちのために。
世界基準の育成環境を作ります。