点と点が繋がって

2年前に「できない」と思い諦めていた構想が思いもよらぬ形で花開く。それも、私の想像を超えたクオリティで。

気が付いたのは本当に偶然。中盤にいる選手を怪我で一時ベンチに下げた時、他の選手をいつもとは違うポジションで使ってみると、思った以上に「ハマっている。」と思った。別に初めてそのポジションをやらせた訳ではない。どの子もメインでするポジションはあるが、普段からそれ以外のポジションもやらせている。

そしてどの子にどのポジションをさせても、今までは、「ハマっている」なんて思った事はなかった。でも、今回は違った。どういう心境の変化か、最近その子のプレイスタイルの変化もあったせいか、今までで見たことないほど輝いていた。まさに「ハマっていた。」

そこでフと気づいた。「あれ?あのフォーメーションができるんじゃない?」と。前回のユーロ決勝で見せたイタリアの戦術も参考にしつつ、自分のチームの選手がどうしたら最大限良いところを発揮できるか、その方法を伝えられるか、1日思案し、次の試合でチャレンジしてみた。

想像以上!

決して簡単じゃない。一人ひとりの選手がスペースを見つけ、動き、また生まれたスペースを使い、、、流動的で、戦術に対する理解が必須。はっきりいって、自分で考えることの出来ない人には出来ない。考えなくてもできるような、「実行」しか伴わないトレーニングばかりをし、指導者が選手のプレーに「Yes」「No」決めつけるようなチームには出来ない。

選手権ごときをゴールにして、勝つサッカーをしているチームには絶対に出来ない。

普段から「認知」→「思考」→「判断」→「実行」のサイクルを取り入れたトレーニングをし、時間がかかっても、選手の言葉を聞き、試合で勝てなくても、戦術的アプローチをしてきたからだと思える。

2年前、これをやっていたら、上手くいかず途中で諦めていただろう。ユーロのイタリア戦がなければ、このクオリティはなかっただろう。いつも中盤にいる選手の怪我がなければ、気付かなかっただろう。休みの選手がいなければ、試さなかっただろう。選手のプレイスタイルの変化を強制していれば、ハマらなかっただろう。最近勝ち続きで、試合が上手くいっていたらチャレンジする必要もなかっただろう。他にもたくさん、数え切れないほどの要素がある。どれか一つでも欠けていたら、辿り着かなかった。

けどこれは偶然じゃない。

今まで積み上げたものが今年の最後、選手権前の最後の試合で形になってきたのは偶然じゃない。必然だ

もちろん、修正点は山積み。選手権には間に合わない。けど、この子たちのサッカー人生が、選手権で負けたからって終わるわけでは無い。ずっと続いていく。その中で、この経験は必ず役に立つ。

ここ1ヶ月、本当に良い試合が出来ているのに、なぜか勝てないという事が多く、選手ももどかしさを感じている中で、「この戦い方どう?」と聞くと「面白い!!」と即答。

なぜ面白いかって?

それがサッカーだからだよ。

コーチに言われたことをするだけの作業じゃないからだよ。

ボールを扱った技術だけがサッカーじゃないんだよ。

自分で認識し、自分で考え、自分で判断し、自分で実行する。そして仲間と協力し、相手と駆け引きし、たった1個のボールを相手のゴールまで運ぶ。それがサッカー。

自分で考えるから面白い。自分で決めるから面白い。仲間がいるから面白い。相手がいるから面白い。

それがサッカーの面白さなんだよ。

今年ももう終わり、来年はどんな面白い発見があるか楽しみだ。