成功を信じる力

サッカーの上達に必要な5つの要素「テクニック」「タクティクス」「フィジカル」「メンタル」「ソーシャル」常に練習ではこの5つの要素を組み込みながら行う必要がある。その中で今日はメンタルについて考える。

まず、メンタルが強い人というのはどういう人なのか。人によって定義が変わってくるかもしれないが、メンタルが強い人というのは「成功を信じる力の強い人」だと考えている。最後は必ず成功すると考えることができていれば、どんなことにだって積極的にチャレンジできる。その過程でどれだけ失敗しても大丈夫、なぜなら最後は必ず成功するのだから。周りの嘲笑も気にならない、なぜなら最後は必ず成功して見返してやれるのだから。環境や状況の変化だって問題ない、なぜなら最後は必ず成功するのだから。

逆に自分の成功を信じることができない人は、新しい事へのチャレンジも難しいし、失敗してしまうと、やっぱり出来ないと落ち込む。周りから揶揄されると惨めな気持ちになるし、環境や状況の変化を言い訳にしてしまう。

強いメンタルとは成功を信じる力だ。

しかし残念なことに私の教え子たちでメンタルが強い人、成功を信じることができる人は数える程しかいない。正しく言えば、「数える程になってしまった」だ。サッカーを始めた頃の子供たち、特に低年齢の子供たちはほとんどが最強メンタルだ。プロサッカー選手になりたい、海外でプレーしたい、メッシのようになりたい、レアル・マドリードに入りたい。そこまで大きなことでなくても、点を取りたい、ヒーローのように活躍したい、と思っているし口にもだす。そしてそれを実現するために何度もチャレンジする。失敗しても気にしない、転んだって気にしない、自分は必ず成功すると信じることができている。

それが時間が経つにつれ、多くの経験を積むにつれ、あるいは周りの言葉に惑わされ、だんだんと自分の成功を信じる力が弱くなる。プロになって活躍するためにしていた練習が、試合でレギュラーを取るためになり、試合で活躍しチームの勝利に貢献するはずが、ミスをしないよう努めるようになり、いつまでやっていても物足りなかったサッカーが、コーチに怒られずに終われたことに安堵するようになる。成功を信じる力を持ち続けるのは簡単ではない。

では成功を信じさせ続けるために普段からどんなアプローチが必要か。答えは簡単。ポジティブな声かけをし、ポジティブなイメージと、ポジティブな感情を与えれば良い。

当たり前だがミスを責めるのは論外だ。ミスを責めれば誰もチャレンジしたくなくなるし、そこから自分の成功をイメージすることは出来ない。

「一生懸命やらないと上手くならない」も良くない。一生懸命やれていない子がいるとついつい言いたくなる言葉だが、子供が好きなサッカーで一生懸命になれない時点で、すでにネガティブな感情を与えてしまっているからだ。

「失敗してもいいから・・・。」これも実はあまり言うべきではない。人は心理的に、チャレンジして失敗するよりも、「チャレンジすればできたのに」という希望を残しておくほうが都合が良いからだ。これは「セルフハンディキャップ」といって、学生がテスト前に普段やらない部屋の片付けをするのと同じだ。勉強してないから点数が悪い、と言い訳したいのだ。

同様に「積極的にプレーしよう」「もっとチャレンジしよう」も不十分だと言える。子供たちが欲しいのは「成功したら良いな」ではなく「必ず成功できる」という確信だ。成功につながっていると確信できるから本気で練習するし、失敗を恐れず何度もチャレンジできる。何も子供たちも全て一発で上手くいくと思っている訳ではない。「成功したいからチャレンジする」では、結果失敗する可能性が含まれる。「成功できるからチャレンジする」この確信があれば失敗は全て過程になる。

メンタルの強化に必要なのは、自分が成功するイメージを持たせ続ける。これは具体的であればあるほど良い。そしてポジティブな感情になれる、心から楽しめるサッカーを提供する。あとはたった一言これを言えば良い。

「必ず出来る。」