反省
いつからか分からないけど、試合が終わった後に、その試合のことをアレコレ言わないようにしている。褒めるところはもちろん言うけど、「もっとこうしとけば」という話はしていない。どんな試合内容でも。
理由は二つ。
一つ目は「もっとこうしとけば」なんて話は誰でも出来る。今回の試合で出来なかった事は練習で改善すれば良い。そしてまた次チャレンジすれば良い。いつまでもその問題が改善できないのであれば、それはまだその段階ではないのか、もしくは練習内容に問題があるかだ。子供に言う前に、まず自分のアプローチの反省と改善が先。
メンタル面も同じ。いつものようなパフォーマンスが出せない時、選手がすぐに諦めてしまう時、気持ちの問題にしがちだけど、そんな事はない。必ず原因がある。普段の練習の理解度が低ければ、選手は何をして良いのか分からずプレーに自信が持てない。フィジカルコンディションも同じ。選手の怪我や疲労は直接影響する。不安や迷いは選手の動きを鈍らせ、いつものようなプレーはできなくなる。
コーチの仕事は、「試合に向けてどれだけ良い準備ができるか」に尽きる。良い試合が出来ない時は、良い準備ができていない時。アプローチするべきは試合ではなく、それ以前の練習だ。良い練習なくして良い試合はない。
そして二つ目の理由は、子供もちゃんと考えているから。やりたかった事、できなかった事は子供の方がわかっているし、反省もできる。反省するのは試合が終わってすぐかもしれないし、家に帰る車の中かもしれない。お風呂に入っている時や寝る前の子もいるし、次の練習や試合の時の似たような場面でフと考える子もいるだろう。
ちゃんと子供も考えれる。その考える機会を大人が奪うのはナンセンスだ。もし考えられない子がいるとしたらそれは、普段から考えを否定されていたり、大人の考えを押し付けられながら育った子である可能性が高い。子供にも権利がある。自分の考えを自由に膨らませ、表現する権利が。指導者が奪って良いものではない。
特に最近はエコロジカルトレーニングをしているから、プレーについてはなるべく口を出さないようにしている。チームとしての目標だけ決めてそこに至るまでの過程を選手に任せてやっている。言いたいことはたくさんあるけど、それ以上に教えたくないと思っている。
まず間違いなく子供たちよりサッカーに詳しいし、そこら辺のコーチよりもサッカーの勉強をしている自信がある。けど、知っている私の答えより、知らない子供たちの考えの方が価値がある。その考えが成長には必要だし、その考えを表現できる環境が大切だと思う。