スペイン指導者留学
8月11日〜19日まで、人生二度目のスペイン指導者留学をし、前回取得したライセンスの一つ上のスペインサッカー協会公認指導員レベル2の取得をしてきた。
講習会の内容は講習というよりも討論形式が多く、試合のプレーを見ながら、サッカーの原則に基づき、何が良かったのか何が悪かったのかの議論と、仮想の自チームと相手チームを作り、自チームの選手の特徴や相手チームの戦術を考慮し、ゲームプランの作成、それを実行するための1週間の練習メニューの構築などがメインだった。
サッカーとは相手がいるスポーツである以上、自分たちが何をしたいかよりも相手チームの攻撃の防ぎ方、守備の崩し方の考察が大事であるが、年間で対戦相手が決まっているリーグ戦主体ではなく、クジ引きで直前に対戦相手が決まるトーナメント主体の日本ではあまり馴染みのない考え方でもある。
日本代表の田中碧選手のコメントに
「個人個人で見れば別にやられるシーンというものはない。でも、2vs2や3vs3になるときに相手はパワーアップする。でも自分たちは変わらない。コンビネーションという一言で終わるのか、文化なのかそれはわからないが、やっぱりサッカーを知らなさすぎるというか、僕らが。彼らはサッカーを知っているけど、僕らは1vs1をし続けている。そこが大きな差なのかな」
という一文がある。まさにこの育成年代の相手ありきでの戦い方、考え方の差がチームとして世界と差がつく部分なんだろうと感じた。
最近はドリブル塾といった個人を伸ばすためのスクールが増えていて、日本人は組織力が高いからこれからは個人の能力をもっと高めた方が良い、という認識は大きな誤りだ。
練習メニューの構築の仕方もAEFCA(ヨーロッパサッカー指導者協会)のオンライン講習で学んでいたから困ることはなかったが、日本にはあまりない文化。週末の試合で120%のクオリティを出すことが最重要だから、日曜日に試合があったとしたら、月・火【リカバリー(回復)】、水・木【ローディング(負荷)】、金・土【テーパリング(調整)】そしてまた日曜日に試合といった具合にメニューを構築する。
この流れを知っていても、どういったトレーニングで、どれくらいの負荷がかかるのか、これを理解している人は極めて少ないと思う。このフィジカルコンディションへのアプローチが弱い結果がスポーツ傷害なのは言うまでもない。
いろいろ思うところ、感じるところはあったがかなり充実した留学だった。これから大事なのはいかに学んだことを活かすか。
統計学によると、ありとあらゆる講習会において学習を修了することができるのは全体の1割。そして、学んだことを実行できるのはその中の更に数%。つまり、学んだことを活かしている人間は1%未満になる。ここが一流になれるかどうかの境目だ。