もっと良いやり方

サッカーのトレーニングは大きく分けて「アナリスティックトレーニング」「グローバルトレーニング」「インテグラルトレーニング」の3種類がある。

アナリスティックトレーニングとは試合で必要なアクションの一部を切り取り、何度も反復練習をするもの。例えば、コーンを使ったドリブルや、対面でのパス&コントロール、シュートドリルがある。私から言わせればあまり面白くない練習だが、小学生や初心者はこの手の練習から入ることが多いだろう。多くのチームが取り入れていると思う。

グローバルトレーニングとは相手と味方が存在し、状況に応じた判断が必要なトレーニング。例を挙げると、2vs2や3vs3、サーバーやフリーマンを使ったトレーニングなど多種多様だ。

そして最後のインテグラルトレーニングは、グローバルトレーニングと似ているが、大きく違うのはチームのゲームモデルの要素が含まれるかどうか。簡単にいえば実際に試合でチームとしてどのように攻撃し、どのように守備をするのかなど試合でのプレーに直結する練習だ。

私はアナリスティックトレーニングをほぼしない。その後の戦術練習などでどうしても必要なテクニックがある時のみウォーミングアップでする程度。

理由としては、判断が伴わない練習は脳が働きにくいこと、練習内容が試合に繋がりにくく、試合のための練習ではなく練習のための練習になってしまうこと。テクニックはサッカーの一部であり、テクニックの上達はサッカーの上達に必要なのは間違いない。しかし、テクニックだけを切り取った練習は「ドリブルの練習」や「パスの練習」でしかなく、「サッカーの練習」とは別物と考えていること。そしてやはり面白くないこと、他にもあるがだいたいこんな理由だ。

昔はもちろん、そういったアナリスティックトレーニングも取り入れていた。私自身がそういったトレーニングをして育ってきたし、経験値に差がある子供たちを一緒にトレーニングするとなると、どうしても必要だと思っていた。今は不必要だと思っている訳ではないが、ただ優先順位としては高くない。チーム内のテクニックに差があっても。

グローバルトレーニングをメインに取り入れてからは3、4年が経つ。チームの子達のテクニックが相手の子達より劣ってるなと感じたことはない。試合で起こるミスはテクニック不足ではなく、認知やポジショニング、味方との連携、相手との駆け引き、状況に応じた判断などがほとんどだと分析している。そうなると、次、必要なトレーニングはやっぱりグローバルトレーンングになる。

アナリスティックトレーニングだって、数をこなし、毎日地道に続ければ試合に活きるだろう。でも数や量に頼る練習は、指導者にとって最も楽なやり方であり、子供たちにとって最も苦痛なやり方だと考えている。

面白くない練習は集中が続かない、当たり前だ。指導者はそういった練習をさせて、「集中しろ」と言うのが仕事ではない。黙っていても子供たちが【夢中】になる練習を提供するべきだ。子供たちが集中できていないと感じるならば、原因は子供たちではなく、練習内容にあると考える。

それはグローバルトレーニングでも同じ。この練習を繰り返せば上手くなる、この練習が最も良い練習!なんてものは存在しない。もっと良いもの、もっと良い方法を常に考え続け、子供たちに提供していかなければいけない。

必要なのは今までのやり方を疑うこと。そして新しいチャレンジをする自分を信じること。

もっと良いやり方は必ずある。