なぜユースをやりたいか1(プロになりたい人へ)
今、記念すべき100回大会となる全国高校サッカー選手権大会が行われている。どの試合も選手たちの想いがプレーに現れており、はっきりいってJリーグの試合よりも面白い。この試合を見て、「いつか全国大会に出たい」「国立競技場でプレーしたい」と思う子は多いだろう。そして何より、実況で「このプロ内定を受けている選手です」という話を聞くと、子供からしたらさらに魅力的だ。地元の強豪校に行って、そこで活躍して、プロになりたいと思うだろう。
しかしながら、現実はそんなに甘くない。強豪校になれば部員は数百人を超え、激しいレギュラー争いがある。これだけ人が多いと、試合に出るためには実力だけでは難しい。私の教え子にもユース年代の日本代表の一歩手前までいった選手がいるが、残念ながら、高校では活躍の機会が得られす、今はサッカーをやめてしまっている。
さらに、全国大会に出場しても、プロになることは極めて難しい。毎年だいたい30人前後いるが、確率で言えば0.05%ほどだ。つまり高校サッカー部からプロの選手になるためにはまず、1強豪校に行けるか、2試合に出れるか、3チームが全国大会等に出場できるか、4スカウトの目に止まるかなど、いくつもの壁があり、実力だけでは到底難しい。
ではプロになるためには他にどういった道があるのかというと、それはJリーグチームの下部組織からだ。下部組織ならば確率で言えば圧倒的に高い。一学年1人か2人、約20%の選手がプロのなっている。つまり、プロになりたいと思っており、それ相応の実力があるのであれば、高校サッカー部で全国大会を目指すより、Jチームの下部組織のセレクションを受けた方が絶対に良い。サッカーは野球やラグビーなどの他のスポーツと違い、プロチームの下部組織が確立されている以上、プロは下部組織出身が多くなるのは必然だ。このシステムをまず理解する必要がある。
どうしても全国大会に出たいのであれば、下部組織でクラブユース選手権大会を目指せば良い。なぜかテレビでは放送されないが、高校サッカーの最高峰の全国大会はコレだ。はっきりいって高校サッカー選手権とはレベルが段違いだ。プロになりたいし全国制覇したい人はこの大会を目指した方が良いだろう。
ではセレクションで落ちた人はどうしたら良いかというと、実は高校サッカーから以外にも大きな道がある。それは大学サッカーからプロになる道だ。あまり知られていないが、大学サッカーからプロ内定を貰っている人は今年でもすでに100人近くいる。確率で言うと1%程だが、それでも高校サッカー部からプロになる人の約20倍だ。しかし、全国大会を目指すような強豪校で進学校はほとんどないだろう。ましてや、朝から夜までサッカー漬けで、ほとんど進学なんて考えていない人は多いはずだ。
と言う事はだ、本気でプロになりたい人は下部組織のセレクションに受け、そこで受からなければ、全国高校サッカー選手権大会を目指し高校を選ぶのではなく、大学進学を考え高校を選ぶ必要がある。
大学進学にはもう一つ大きなメリットがある。それはプロになれなかった場合、いや、たとえプロになれたとしても、その引退後の選択肢が圧倒的多いということだ。
毎年約20%が戦力外通告を受けていると言われるJリーガーの平均引退年齢は25〜26歳だ。競技寿命は非常に短い。そして、現役Jリーガーのうち約80%もの人が引退後の人生に不安を抱えているという。それはそうだろう。運よく30歳までプレーできたとしても、その後の人生は50年近く続き、あと40年ほど別の仕事で働かなければいけない。サッカー関係の仕事に就ける人は極僅かだ。
高校サッカーからプロになった場合、なんのスキルもない30歳の高卒が再就職など、極めて難しいのは大人ならばわかるはず。その証拠に、実はJリーガー引退後、鬱などの精神障害になる人は全体の約40%もいて、アルコール依存症になる人は約30%もいると言われている。こんな話を聞くと、保護者からしたら「プロなんて目指さないで欲しい」と思う人も多いだろう。
だからこそ、大学に進学するということは非常に大きな意味がある。プロサッカー選手になるという夢は素晴らしい。しかし、人生はそれで終わりではない。残念ながら【夢を叶えること=幸せ】でもない。
しかし高校サッカーで高いレベルを維持しながら、進学できる学校はほとんどない。だから、高校の部活以外でサッカーを本気でする環境を作りたい。これが、ユースを立ち上げたい理由の1つだ。熊本にあるユースチームは2つしかない。もっと多くの選択肢が子供には必要だと考える。
強豪校に行って全国高校サッカー選手権に出場したいと思うことが悪いわけではない。その気持ちはよく理解できる。また、そういった環境で揉まれなければ強くなれない、プロになる実力を身に付けられないと思っている人もいるだろう。それは否定させてもらう。プロになる人はそんなところで争っていない。これが現実であり、この現実を受け入れなければいけない。プロになるための道は他にある。
もう一度言うが、全国高校サッカー選手権に出場したい気持ちはよく理解できるし、それを目標とするのも良いだろう。しかしそこはゴールではないはずだ。どうしても叶えたい夢があるのであれば、もっと多くの情報を集めて、多くの選択肢を持った方が良いだろう。
私は世界基準の育成環境を作ります。ここには高校サッカー部にはない選択肢があります。
興味がある方はいつでもご連絡下さい。